🔥 FIRE(セミリタイア)ライフプランシミュレーター

資産が尽きることなく豊かな人生を過ごすために

計算の根拠と前提

FIREシミュレーターが使っている計算式と前提条件。所得税・住民税・社会保険料・年金・教育費・退職金の扱いを、出典付きで説明します。

シミュレーターが「どのように計算をしているのか」「どのような数値を利用しているのか」を解説します。

計算全体の流れ

このツールは、いまの年齢から目標年齢まで、1年ずつ家計を積み上げていきます。 年齢や収入に応じて税率や社会保険料、年金や教育費などは毎年変わるものです。 それらを毎年計算し直すため、4%ルールのような「平均的な支出額 × 年数」とは異なった方式の細かな試算を含めています。

各年では次の順番で処理していきます。

  1. 給与、退職後は副業・年金などから収入を出す
  2. 収入から税・社会保険料を引いて手取りを出す
  3. 手取りから生活費、住居費、教育費などの支出を引いて貯蓄を出す
  4. 貯蓄を資産に足す、または貯蓄が足りなければ資産を取り崩す
  5. 資産にその年の運用リターンをかける

物価上昇は毎年の金額に反映します。表示は実質(今日の物価に直した価値)と 名目(その年の額面)を切り替えられます。

出典

対応している制度の年度

計算に使っている制度の数値が、いつの改正時点のものかを示します。 いつ何に対応したかは更新履歴にあります。

制度 適用
老齢基礎年金 満額 847,300円 令和8年4月分から
国民年金保険料 月17,920円 令和8年度
児童手当(所得制限なし・高校生まで) 令和6年10月から
高等学校等就学支援金(所得制限の撤廃) 令和8年4月から
高等教育の修学支援新制度(多子世帯) 令和7年から
協会けんぽ・厚生年金・雇用保険・子ども子育て支援金 令和8年度
任意継続の標準報酬月額の上限 32万円 令和8年度
短時間労働者の適用要件(週20時間・賃金要件の撤廃) 令和8年10月1日から
国民健康保険(東京23区。子ども・子育て支援金分を含む)・後期高齢者医療(東京都) 令和8年度
基礎控除 62万円・給与所得控除の最低保障額 69万円 令和8年度税制改正
所得金額調整控除(850万円超・23歳未満の扶養親族) 令和7年4月1日現在法令等
雇用保険 基本手当日額 令和8年8月1日から
日本学生支援機構 第二種 貸与利率 2.722% 令和8年度

出典は、それぞれの制度を説明している節にあります。

手取りの計算(現役時)

額面年収から、社会保険料と税金を引いて手取りを出します。

額面年収−社会保険料−所得税−住民税=手取り

社会保険料は働き方で変わります。会社員・公務員は勤務先を通じて健康保険と厚生年金に入り、 個人事業主・フリーランスは国民健康保険と国民年金を自分で納めます。 所得税と住民税の計算は、どちらの働き方でも同じです。

会社員・公務員の社会保険料

週20時間以上働くパート・アルバイトもここに含まれます。

区分本人が負担する率
健康保険4.925%
子ども・子育て支援金0.115%
厚生年金9.15%
雇用保険0.5%
合計(40歳未満)14.69%
介護保険(40〜64歳のみ)0.81%
合計(40〜64歳) 15.5%

協会けんぽ・東京支部・令和8年度の料率です。 健康保険・介護保険・厚生年金は労使折半で、表は本人が負担する側だけを載せています。 厚生年金は年1,080万円、健康保険などは年2,241万円で頭打ちです (標準報酬月額と標準賞与額の上限)。

社会保険料は全額が所得控除になるため、所得税・住民税の計算にも使われます。

出典

個人事業主・フリーランスの社会保険料

個人事業主・フリーランスは、勤務先を通じた社会保険がありません。 国民健康保険と国民年金保険料を自分で納めます。労使折半はないため、全額が本人の負担です。

国民健康保険は前年の所得に応じた所得割と、加入者1人ごとの 均等割で決まり、区分ごとに賦課限度額があります(料率は「国民健康保険の保険料」の表)。 国民年金保険料は月17,920円 (令和8年度)の定額で、所得によって変わりません。60歳になるまで納めます。

出典

所得税

課税所得を出してから、累進税率をかけます。

給与収入−給与所得控除−所得金額調整控除=給与所得

給与所得−基礎控除−社会保険料控除−配偶者控除−扶養控除=課税所得

課税所得×税率−控除額=所得税

所得税×1.021=納める額

子どもが19〜22歳の期間は特定扶養控除(63万円)が入ります。 所得金額調整控除は額面850万円を超えたときだけ効きます(次の節)。

税率と控除額は、課税所得の帯で変わります。本ツールが使っている値です。

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 9.75万円
330万円超 695万円以下 20% 42.75万円
695万円超 900万円以下 23% 63.6万円
900万円超 1,800万円以下 33% 153.6万円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 279.6万円
4,000万円超 45% 479.6万円

ここでいう「控除額」は、帯ごとの税率をつなぐための調整額です。住宅ローン控除などの税額控除ではありません。本ツールは税額控除を入れていません。

最後に掛ける1.021は、所得税額への上乗せです。本ツールは2.1%を全期間に掛けています。

適用年分 復興特別所得税 防衛特別所得税 合計
令和8年分まで 2.1% — 2.1%
令和9年分〜令和29年分 1.1% 1.0% 2.1%
令和30年分以後 — 1.0% 1.0%

令和8年度の税制改正で防衛特別所得税(1%)ができ、同時に復興特別所得税が2.1%から1.1%に下がって、課税期間が令和29年分まで延びました。内訳は変わりますが、合計は2.1%のままです。

令和30年分以後だけは、本ツールが多めに見積もることになります。

出典

基礎控除と給与所得控除の金額

本ツールは令和10年分以後の金額を、全期間に使っています。

適用年分 基礎控除 給与所得控除の最低保障 本ツール
令和7年分(改正前) 58万円 65万円 使わない
令和8年・9年分 62万円+加算 74万円 使わない
令和10年分以後 62万円 69万円 これを全期間

令和8年度の税制改正で、基礎控除が58万円から62万円に、給与所得控除の最低保障額が 65万円から69万円に引き上げられました。あわせて令和8年・9年分に限った加算 (合計所得489万円以下は42万円など)と、最低保障額を74万円とする措置がありますが、 これは適用していません。数十年先まで試算するツールで、2年で終わる措置を 全期間に伸ばすほうが実態から離れるためです。 そのぶん、いまの2年間については 手取りを少なめに見積もることになります。

令和10年分以後は、2年ごとに全国消費者物価指数の変化率で見直すことになりました。 物価が上がれば控除額も上がる仕組みなので、この表の金額も将来動きます。

出典

所得金額調整控除

額面850万円を超えていて、23歳未満の子がいる場合だけ効きます。

(min(給与収入, 1,000万円)−850万円)×10%=所得金額調整控除

上限は15万円で、額面1,000万円で届きます。給与所得控除が850万円で195万円に張り付いたあと、入れ替わりにこの控除がはじまるので、額面1,000万円までは控除の伸びが止まりません。

額面年収 給与所得控除 所得金額調整控除 合計
850万円 195万円 0円 195万円
900万円 195万円 5万円 200万円
1,000万円 195万円 15万円 210万円
1,500万円 195万円 15万円 210万円

「扶養親族」に年齢の下限はありません。 16歳未満の子は扶養控除の対象ではありませんが、扶養親族ではあるので、この控除の要件は満たします。子どもが小さいうちは扶養控除がゼロなので、高年収の世帯で子が税金に効く唯一の経路がこれです。

人数は関係ありません。 1人でも3人でも控除額は同じです。また扶養控除と違い、共働きなら夫婦の双方が同じ子で適用を受けられます。

本ツールは、シミュレーション開始時点で23歳未満の子がいるかどうかで判定します(扶養控除と同じ基準です)。本人が特別障害者である場合と、特別障害者を扶養している場合も対象になりますが、本ツールは障害者控除を扱っていないため、この2つは判定に入れていません。 該当する方の手取りは、少なめに見積もることになります。

出典

住民税

(課税所得×10%)+均等割=住民税

所得割は課税所得の10%(都民税4%+特別区民税6%)です。税率は10%の一本で、所得税のような累進はありません。均等割は定額で、非課税限度額の判定を通ったときだけ加わります。

出典

所得税と住民税で異なる控除額

同じ名前の控除でも、住民税の額は所得税より小さくなります。 本ツールは所得税と住民税で課税所得を別々に計算しており、計算画面の内訳に出る「配偶者控除(住民税)33万円」は、所得税の38万円ではなく住民税の額です。

控除 所得税 住民税
基礎控除 62万円 43万円
配偶者控除 38万円 33万円
扶養控除(一般) 38万円 33万円
特定扶養控除(19〜22歳) 63万円 45万円

配偶者控除の額は、本人の合計所得900万円以下の場合のものです。900万円を超えると段階的に減り、1,000万円を超えるとなくなります。

給与所得控除が額面850万円超で195万円に張り付くため、会社員の額面年収に直すと次の3点が境目になります。

額面年収 23歳未満の子がいる場合 配偶者控除(所得税/住民税)
1,095万円まで 1,110万円まで 38万円/33万円
1,096万〜1,145万円 1,111万〜1,160万円 26万円/22万円
1,146万〜1,195万円 1,161万〜1,210万円 13万円/11万円
1,196万円から 1,211万円から なし

23歳未満の子がいると、境目が15万円ぶん後ろへずれます。 逓減の判定に使うのは額面ではなく合計所得で、所得金額調整控除がその合計所得を最大15万円下げるためです。

この3点では、額面を1万円上げると手取りが3万円前後減ります。 専業配偶者のいる世帯で額面1,095万円から1,096万円になると、手取りは年2.96万円減る計算です。減った手取りが元に戻るのは額面1,102万円で、昇給7万円ぶんが控除の消滅に消えます。

なお70歳以上の配偶者は控除額が大きくなりますが(所得税48万円/住民税38万円)、本ツールは一般の配偶者として計算しています。手取りを少なめに見る側にずれます。

出典

退職後の収入

退職金

(収入金額(源泉徴収される前の金額)−退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

退職所得控除額は勤続年数で決まります。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

控除を引いた残りの2分の1が課税対象になります。

自営業・フリーランスには退職金がありません。小規模企業共済は退職所得として 扱われ得ますが、控除の年数が勤続年数ではなく掛金の納付月数で決まるため、 本ツールの計算(勤続年数ベース)では正しく出せません。対象外にしています。

出典

iDeCo・企業型DC

私的年金の口座です。本ツールは次を入力から受け取り、資産とは別に積み立てます。

掛金は収入にも支出にも現れません。 預貯金から出て年金口座へ移るだけだからです。 受け取り年齢になると、税を引いたあとの額が資産に加わります。

掛金は毎年同じ円のまま計算します(物価上昇では増やしません)。 拠出限度額は法律で決まった円の額で、物価に連動して上がるものではないためです。

出典

失業給付(雇用保険の基本手当)

勤続年数と離職理由から給付日数と日額を出します。自己都合退職の場合は 2ヶ月の給付制限があるため、その分だけ受け取り開始を遅らせています。

日額は賃金の低い方ほど高い率になり、離職時の年齢ごとに上限があります。

離職時の年齢 基本手当日額の上限
30歳未満 7,450円
30〜44歳 8,270円
45〜59歳 9,110円
60〜64歳 7,830円

この額は毎年8月1日に改定されます。

自営業・フリーランスと、週20時間未満のパートは雇用保険の被保険者ではないため、 失業給付を計上しません。

出典

副業・事業収入

事業所得として扱い、65万円の控除を引いた額が翌年の国民健康保険料の算定基礎になります。

出典

退職後の健康保険

退職すると、勤務先を通じた健康保険から抜けます。次のどれを選ぶかを入力してください。 保険料の決まり方そのものは、現役時の個人事業主と同じです。

健康保険の選択肢

選択肢 保険料 期間
国民健康保険 前年の所得に応じた所得割 + 人数に応じた均等割(市区町村単位) 制限なし
任意継続 在職時の標準報酬月額をもとにした額。労使折半がないため在職時のおよそ2倍 退職後2年間。3年目から国民健康保険に切り替わります
配偶者の扶養 なし 配偶者が働いていて、かつ自分の年収が基準未満の間
副業先の保険 副業先で天引きされる 副業を続けている間

副業先の保険を選んだ場合、退職後の健康保険料としては計上しません。 その保険料は副業収入の手取りを計算するときに引かれており、 ここで足すと二重に数えることになるためです。世帯の国民健康保険の 人数(均等割)からも外れます。

加入形態から外れたあと

どの選択肢も一生は続きません。条件から外れた年から、国民健康保険の保険料を計上します。

選択肢 外れる条件
任意継続 退職から2年が過ぎる
配偶者の扶養 配偶者が退職する。または自分の年収が130万円(60歳以上は180万円)以上になる
副業先の保険 「何歳まで続けますか」で選んだ年齢を過ぎて、副業をやめる
すべて 75歳になる(後期高齢者医療へ移ります)

扶養の判定に使う年収は、税金の計算で使う所得とは別のものです。額面であり、公的年金も含みます。本ツールは副業収入と公的年金の2つを数えます。

年収の基準は、入力した今日の金額で当てます。物価が上がっただけで扶養から外れることのないようにするためです。

同居している場合の「被保険者の年収の半分未満」という条件は入れていません。そのぶん、配偶者の収入が低い世帯では扶養に入れたままになることがあります。

配偶者の健康保険も同じように扱います。ただし、「配偶者の扶養」に入れるのは、あなたが任意継続か副業先の保険にいる間だけです。国民健康保険に被扶養者の仕組みは無く、あなたが国保なら世帯の全員が被保険者になり、人数ぶんの均等割がかかります。

国民健康保険は前年の所得で決まります。退職した翌年は現役時代の所得が 基準になるため高くなり、翌々年から大きく下がります。

出典

国民健康保険の保険料

(前年の総所得−43万円)×所得割率+均等割額=保険料(区分ごとに限度額あり)

区分所得割均等割限度額
国保 医療分7.51%4.76万円67万円
国保 支援金分2.80%1.76万円26万円
国保 介護分(40〜64歳)2.43%1.78万円17万円
国保 子ども分(均等割は19歳以上)0.27%0.19万円3万円
後期高齢者 医療分9.88%5.33万円85万円
後期高齢者 子ども分0.26%0.13万円2.1万円

国保は東京23区(令和8年度)、後期高齢者は東京都後期高齢者医療広域連合(令和8年度)、介護保険の第1号保険料は千代田区(第9期(令和6〜8年度))の値です。料率は市区町村によって異なります。

配偶者がいる場合、入力いただいた配偶者の年齢をもとに試算しています。 正確な金額はお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

出典

公的年金

老齢基礎年金

満額847,300円(令和8年4月分から)を480月で割り、納付月数に応じて按分します。 退職して60歳未満の期間は国民年金保険料の支払いが発生します(金額は上の「社会保険料」を参照)。

自営業・フリーランスと、週20時間未満のパートは厚生年金に加入しないため、 公的年金は老齢基礎年金のみで試算します。報酬比例部分は乗りません。

出典

厚生年金(報酬比例部分)

生涯の平均年収÷12×5.481/1000×加入月数=報酬比例部分

効くのは生涯の平均年収です。本ツールが聞いているのは今の年収だけなので、年齢別の賃金カーブで過去の年収を割り戻します。

年齢階級 賃金(千円) 指数(20〜24歳=100)
〜19歳 199.3 85.7
20〜24歳 232.5 100.0
25〜29歳 267.2 114.9
30〜34歳 299.5 128.8
35〜39歳 328.7 141.4
40〜44歳 351.4 151.1
45〜49歳 372.7 160.3
50〜54歳 380.4 163.6
55〜59歳 392.0 168.6
60〜64歳 317.7 136.6
65〜69歳 275.5 118.5

22歳で就職して現在40歳・年収800万円なら、22〜24歳を指数100、25〜29歳を114.9…と当てはめ、いまの年齢の指数(151.1)との比で過去の年収を割り戻します。今の年齢より先は、今の年収のまま置きます。本ツールは将来の昇給を見込まない前提で家計を計算しており、年金だけ伸ばすと食い違うためです。

加入月数は、就労開始から退職までから一律6ヶ月を引いて数えます。入力いただくのは満年齢ですが、実際に就職した月は誕生日の0〜11ヶ月あとになるためです。4月入社なら平均6ヶ月ぶん、引かないと常に多い側にずれます。

年収が高い方には上限があります。標準報酬月額は月65万円(年780万円)、標準賞与額は1回150万円までで、本ツールは賞与が年2回あるものとして年1,080万円で頭打ちにします。この上限は年金の受取額と社会保険料の両方に効きます。

このカーブは全国の平均像であって、あなたの昇給ではありません。平均より急に上がった人には、この補正でもまだ足りません。

出典

賃金カーブそのものは年金の制度ではありません。「今の年収から過去の年収を推定する」ために本ツールが持ち込んだ補正で、統計は出典のとおりですが、当てはめ方は本ツールの判断です。

就職した年の年収

そこで、就職した年の年収を入れられるようにしています(任意)。入れると、カーブの形は保ったまま、就職時と現在の2点に合わせて伸縮します。

年収(年齢)=就職時+(いまの年収−就職時)×(指数(年齢)−指数(就職時))÷(指数(現在)−指数(就職時))

下げる方向専用ではありません。平均より緩やかに上がった方は、入れると推計が上がります。

入れる額は12ヶ月分に直してください。4月入社なら最初の源泉徴収票は4〜12月の9ヶ月分しかないので、票の支払金額 × 12 ÷ 9 が入れる額です。ここを揃えないと、同じ経歴の方でも結果が1割ほど変わります。

年収800万円・22歳就職・現在40歳・55歳退職の方なら、未入力だと22歳の年収を529万円と置きます。300万円と入れると生涯平均が721万円から653万円に下がり、年金の見込みは208万円から196万円になります。

それでも、実績とは1割ほど開きが残ることがあります。このカーブは全国の平均像で、個人の昇進の形を持っていません。途中で年収が下がった方や、数年で一気に上がった方の形は再現できません。ねんきん定期便・ねんきんネットの見込み額を「自分で入力」に切り替えて入れるのが、いちばん正確です。

この2点合わせに出典はありません。 上の賃金カーブ(出典は前の節)の形を保ったまま、 就職時と現在の実額に合わせて伸縮させる、本ツール独自の補正です。

パートの社会保険(週20時間の基準)

令和8年10月1日に、年収106万円(月額8.8万円)の要件が撤廃されます。 最低賃金の上昇で、週20時間以上働けば自動的に月8.8万円を超えるようになったためです。

残る要件は週の所定労働時間が20時間以上であることです。厚生年金・健康保険・雇用保険で共通の基準なので、この1つの要件で3つの保険加入が決まります。

加入すると保険料が引かれて手取りは減りますが、将来の厚生年金は増えます。 ただし注意点があります。標準報酬月額には下限があり、賃金要件が撤廃されても据え置かれます。

制度 標準報酬月額の下限
厚生年金 月8.8万円(年105.6万円)
健康保険・介護・子ども子育て支援金 月5.8万円(年69.6万円)

つまり月7.5万円(年収90万円)で働く人も、厚生年金保険料は月8.8万円ぶんを払います。 本ツールはこの下限を反映して試算します。

なお、週20〜30時間の場合は勤務先の規模も要件になります(現在は被保険者51人以上。 令和9年10月に36人以上、令和11年10月に21人以上、令和14年10月に11人以上へ段階的に拡大)。 本ツールは勤務先の規模を入力しないため、要件を満たすものとして試算します。

出典

出典

老齢厚生年金(報酬比例部分)

標準報酬月額と加入月数から推計します。標準報酬月額の上限は65万円(第32等級)です。

出典

年金の課税

老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらも、受け取るときに雑所得として課税されます。 公的年金等控除を引いた額が、所得税・住民税と、その翌年の国民健康保険料の 算定基礎になります。

出典

ねんきん定期便の額の使い方

入力画面では自動推計と手入力を切り替えられます。手入力のほうが正確とは限りません。

50歳以上の定期便には、現在の加入条件が60歳まで続いた場合の見込み額が載っています。 この額はそのまま使えます。

50歳未満の定期便に載るのはこれまでの加入実績だけの金額です。 これから納める分が入っていないため実際より小さく出ます。自動推計のほうが実態に近くなります。

出典

繰り上げ・繰り下げ

繰り上げは1か月あたり−0.4%、繰り下げは1か月あたり+0.7%。 受け取り開始年齢を動かすと、生涯の受取総額と資産寿命の両方が変わります。

出典

マクロ経済スライド

年金額は、物価上昇率から0.3%を差し引いた率で増やします。 差し引いた結果がマイナスになる年は増やさず、その年の額を据え置きます。

物価が0.3%を超えて上がる年は、金額としては増えますが物価の上がり方には 追いつきません。買えるものは少しずつ減っていきます。 デフレや低インフレの年に金額を減らすことはしません。

受給開始前・開始後の両方に効かせています。

出典

教育費

学年度ごとの教育費を積みます。学年は年度で管理しており、 早生まれかどうかで学年がずれる問題を避けています。

制度による減免はすべて自動で計算します。

段階ごとに、それぞれの一次資料をそのまま使っています。 以前は金融広報中央委員会「知るぽると」というまとめサイト1本でしたが、 それだと元が何年度の調査か辿れませんでした。

段階 出典 年度
幼稚園〜高校 文部科学省「子供の学習費調査」 令和5年度
大学・大学院 日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」 令和3年度
一人暮らしの仕送り 全国大学生協連「学生生活実態調査」 2025年

出典

大学の費用と一人暮らし

大学は日本政策金融公庫の調査から、入学費用(受験料・学校納付金・入学しなかった 学校への納付金)と在学費用(授業料・通学費・教科書代・塾など)を積みます。 4年間の合計は国公立で481万円、私立文系で690万円、私立理系で822万円です。

既定は「実家」です。 全国では自宅から通う方が多数派だからです。 一人暮らしを選ぶと、仕送りが上に乗ります。水準は3つから選べます。

選択肢 月額 もとの数字
なし 0円 出典はありません。仕送りをしないという選択そのものです
平均的 7.5万円 下宿生への仕送りの平均額(74,652円)
ゆとりあり 13.8万円 下宿生の支出合計(138,020円)

「平均的」が既定です。 親が実際に出している額の実績だからです。 「ゆとりあり」は、アルバイトや奨学金を当てにせず親が全部出す前提の額です。 「なし」は、お子さんがアルバイトと奨学金で生活費をまかなう場合に選んでください。

入学した年には、敷金や家財道具などの引っ越し費用38.7万円も加えます。 これは「なし」を選んだ場合も加えます。 引っ越し費用は月々の仕送りとは別の費目で、 もとにした調査も別だからです。ここを0にすると、実家から通う場合との差が まったくなくなってしまいます。

仕送りと在学費用が二重にならないのは、公庫の調査が仕送り額を 「在学費用分は除く」と定義しているからです。

大学院の費用

大学院も大学と同じ公庫の調査から作ります。 出典を分けると、調査ごとの 水準の差がそのまま22歳から23歳への段差として出てしまうためです。

大学の在学費用から家庭教育費(塾の月謝・おけいこごと)を除いた額を年額に、 入学費用から学校納付金だけを取り出した額を入学金にします。 大学院生に塾は当たらず、大学院受験は学部ほど併願しないためです。

年額 入学金 2年合計
国公立 96.6万円 28.6万円 221.8万円
私立文系 145.2万円 40.6万円 331.0万円
私立理系 172.4万円 46.6万円 391.4万円

この作り方は別の調査で裏が取れています。 大学に対する大学院の比は96.6÷103.5=0.933。 日本学生支援機構の調査で国立大学の学部と大学院を直接比べると0.929で、ほぼ一致します。 入学金28.6万円も、国立大学院の入学料282,000円とほぼ同じです。

出典

児童手当

0〜2歳は月1.5万円(第3子以降3万円)、3歳から高校生までは月1万円(第3子以降3万円)。 令和6年10月から所得制限がなくなりました。

この額は物価上昇では増やしません。 法律で決まった金額だからです。

第3子以降の数え方

22歳年度末までの上の子を数えます。23歳以上の兄姉は数から外れ、 下の子の順位が繰り上がります。

出典

幼稚園の費用と無償化の扱い

4〜6歳(年少・年中・年長)は公立幼稚園として年約17.7万円を積みます。 令和5年度調査の「公立幼稚園 3年で532,177円」を3で割った額です。

幼児教育・保育の無償化は、この上からさらに差し引いてはいません。 令和5年度の調査は無償化(2019年10月開始)より後のもので、 すでに無償化が効いたあとの実額だからです。差し引くと二重になります。

出典

高校の就学支援金

令和8年4月から所得制限がなくなり、公立は年11.88万円、私立はさらに加算されて 年39.6万円まで支給されます。

ただし、この額をそのまま差し引いてはいません。 もとにしている令和5年度の学習費調査は保護者が実際に払った額で、 当時の就学支援金はすでに差し引かれているからです。丸ごと引くと二重になります。

差し引くのは、所得制限がなくなることで「さらに」減る分だけです。

段階 令和5年度に払っていた授業料 制度改正後 差し引く額
公立 45,272円 0円 45,272円
私立 279,170円 61,331円 217,839円

私立の61,331円は、授業料の全国平均457,331円から支援の上限39.6万円を引いた残りです。

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高等教育の修学支援新制度

3人以上の多子世帯は令和7年から、大学の授業料を年70万円、入学金を26万円を 上限に無償化されます。

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奨学金

日本学生支援機構の第二種(有利子)を選べます。貸与中は教育費が下がり、 卒業後に返還が始まります。教育費のピークを後ろへ平準化する効果があります。

借りた金額は、年間収入には反映されません。その年の教育費から借りた金額を直接差し引く形で 反映します。 借りた金額だけ手元から出ていく学費が減る、という扱いです。 返還が始まると、こんどは年間支出に「奨学金返還」として現れます。

貸与利率が想定運用利回りを下回ると、試算上の成功確率は上がります。 教育費のピークで資産を売らずに運用へ残せるためです。 ただしこれは借金をして投資している状態(レバレッジ)です。 運用が想定を下回れば効果は逆転し、返済だけが残ります。 入力画面ではこの関係を明示しています。

成功確率の差がわずかなら、借りない判断も十分に妥当です。 モデルの上で有利であることと、その借金を背負う価値があることは別の問題です。

利率は貸与終了時に決まります。試算で使う利率は直近の実績値にもとづく仮定です。

大学院にも第二種を継続する前提で試算します。大学院の貸与月額は 5・8・10・13・15万円からの選択のため、学部の月額を超えない範囲で最大の額を当てます。 在学中は返還が猶予されるため、返還開始は修了後です。

奨学金を借りる前の注意点

奨学金は原則としてお子さま名義の借入です。試算では返済者を保護者・お子さまの どちらにも設定できますが、法律上の債務者が変わるわけではありません。

生活費

高齢化による支出の変化

総務省の家計調査では、「高齢期の生活費は現役期の0.87倍」となっています。仕事をやめると、通勤や職場のつきあいにかかっていたお金がなくなるためです。

調査 比べた金額 比
総務省 家計調査 単身世帯(2024年) 1人固定。35〜59歳 151,413円 → 65歳以上 131,227円 0.87
総務省 家計調査 二人以上の世帯(2024年) 第3-1表。2人固定。勤労者60歳未満 255,067円 → 無職 221,064円 0.87

これを踏まえて、生活費は65歳から10%減らして計算しています。住居費と教育費には掛けません。

なお、入力時点の年齢が既に65歳以上の場合は、入力された生活費がそのまま初年度の 生活費になります(二重に減らしません)。

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資産の取り崩し

課税口座の売却時には運用益に対する税がかかります。 そのため、取り崩しは預貯金 → 課税口座 → NISA の順で行います。 非課税の枠を最大限運用に残すほうが、同じ取り崩し額でも手元に残る額が大きくなるためです。

取り崩す時期と運用益のかかり方

減らす動きは年初、増やす動きは年末に置いています。 つまり取り崩したあとの残高が1年運用され、余った分は年末に積み立てます。

年間運用益=(年始の資産−取り崩した額)×利回り

取り崩す額にも1年ぶんの利回りを乗せると、有利すぎる見積もりになります。 4%ルールの元になった研究(Bengen・Trinity study)も年初の取り崩しです。

利回りは口座ごとに分けて掛けます。 預貯金は年0.1%、NISAと課税口座は 選んだ想定利回りです。そのため結果画面の「年間運用益」は、 資産全体に想定利回りを掛けた額とは一致しません。

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全世界株式と米国株式の比較

想定利回りは、選んだ資産の実績をそのまま使います。どちらも同じ資料(1900〜2024年の125年・ 世界40市場の集計)から引用しています。

実質リターン 物価上昇2%のときの名目 1年ごとの上下の大きさ
全世界株式(オルカン) 年5.2% 年7.3% 年16.13%
米国株式(S&P500) 年6.6% 年8.73% 年17.21%

「実質」は物価上昇を除いた増え方です。 物価が2%上がる世界では、名目で7.3%増えて やっと「去年と同じだけ買える額が5.2%増えた」ことになります。物価上昇の入力を変えれば 名目も動きます(0%なら5.2%、3%なら8.36%)。固定しているのは実質のほうです。

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米国の実質リターンが年1.4%高いのは、過去125年で米国が他のどの国よりも高く成長したからです。 これは実績であって、将来も米国が勝ち続けるという意味ではありません。

米国株式の強み

1. 125年の実績が高い

上の表のとおり、米国株の実質リターンは全世界株を年1.4%上回ってきました。 40市場のなかで最も高い成長です。この差は長い期間ほど大きく開きます。

2. 世界最大の市場をそのまま持てる

全世界株を選んでも、その中身の6割以上は米国です。米国株を選ぶことは、 残り4割を米国に寄せる判断にあたります。米国が今後も他国を上回るなら、 そのぶん結果は良くなります。

ただし、これは過去125年の実績です。 将来も米国が勝ち続けるという意味ではありません。 1900年に世界最大だったのは英国でした。

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全世界株式の強み

1. 一国集中を避けられる

全世界株は分散が効きます。米国株と比較したとき、米国という特定の国が長く停滞したときにその強みを発揮します。 1989年の日本は世界最大級の市場でしたが、そこから20年以上戻りませんでした。同様のことが米国に起こる可能性がないとは言い切れません。

2. 将来の勝者に自動で乗り換わる

時価総額の大きさに応じて持つので、米国以外の国が台頭すれば、何もしなくてもその成長を取り込みます。 1900年に世界最大だったのは英国でした。 60年後の勝者を、いま選ぶことはできません。

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利回りの測り方(複利)

「年に何%増えるか」には2通りの測り方があります。本ツールが使うのは、 実際に手元に残った結果から逆算するほう(複利)です。

たとえば+50%の翌年に−50%だと、単純に足して2で割れば0%ですが、100万円は75万円に なっています。カスタムで利回りを入力した場合も、入力した数字のぶんだけ複利で 増える計算になります。

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成功確率の出し方

運用リターンは毎年同じではありません。そこでモンテカルロ法を使います。

想定利回りと変動幅から乱数でリターンの並びを作り、その並びで人生を1回まわします。 これを1,000回繰り返し、目標年齢まで資産が尽きなかった回数の割合が成功確率です。

たとえば成功確率80%は、「1,000回のうち800回は、目標年齢まで資産が残った」という意味です。 残り200回では途中で資産が尽きます。確実に大丈夫という意味ではありません。

1年ぶんのリターンは、実際に起きた年から引いています。

株の1年の成績は、上下対称ではありません。大きく下げる年のほうが大きく上げる年より 起きやすく、極端な年も左右対称の想定より多く現れます。

そこで、S&P Composite の1900〜2022年の123年ぶんの実績から上下の偏り方だけを 取り出し、そこから引くようにしています。平均(どれだけ増えるか)と変動の大きさは 別の出典から取るので、過去の米国の成績をそのまま将来に当てはめてはいません。

変動の大きさ(ボラティリティ)はポートフォリオの設定から決まります。全世界株式の 既定値は年16.13%。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の基準価額から 測った円建ての実績です(2018年10月〜2026年7月末の93か月)。

この方法は、退職後の取り崩しを最初に研究したベンゲン(1994年)や、 バンガードの退職試算ツールと同じ考え方です。

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試算に使っている値

選んだポートフォリオによって、次の値が変わります。 右端は比較のために置いた先行研究で、本ツールの設定ではありません。

全世界株式(オルカン) 米国株式(S&P500) Bengen 2025
実質リターン 年5.2% 年6.6% 多資産(内訳は原著)
1年ごとの上下の大きさ 年16.13% 年17.21% —
年の並べ方 1年ずつ独立 5年ひとかたまり 5年ひとかたまり
ばらつきの形 S&P Composite 1900–2022年の実績から 同左 同左(米国の実データ)
試行回数 1,000回 1,000回 —
安全引出率 3.06%(30年・95%成功) — 4.70%(30年)

「年の並べ方」が全世界株と米国株で違います。 米国株は5年をひとかたまりで 引くため、暴落から回復までの並びがかたまりの中に残ります。全世界株は1年ずつ 独立に引きます。世界株の年次系列で商用利用できるものがなく、米国の並びを借りると 「世界大戦のような数年続きの下落は起きない」と仮定することになるためです。

米国株の5年という長さは、Bengen 2025 に倣ったものです。 同じ研究が使う かたまりの長さにそろえています。ただし2〜10年のどこを選んでも傾向は変わらず、 5年に特別な根拠はありません。測定では決まらない判断です。

安全引出率は「その率で取り崩したとき、95%の試行で資産が尽きなかった率」です。 本ツールの 3.06% が Bengen の 4.70% より低いのは、前提が違うからです (次の「4%ルールとの違い」を参照)。

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結果画面の判定(安全圏・要注意・要改善)

結果画面には成功確率とあわせて3段階の判定を出しています。区切りの根拠は次のとおりです。

4%ルールとの違い

よく知られる4%ルール(Bengen, 1994)は、「退職時の資産の4%を初年度に引き出し、 以降は物価に合わせて同じ実質額を引き出し続ければ、30年間は尽きなかった」という 米国の歴史データの分析です。

本ツールの計算とは、前提が4つ違います。

4%ルール 本ツール
期間 30年 目標年齢まで(40歳なら60年)
収入 ゼロと仮定 年金・給与・副業を計算する
支出 毎年同じ実質額 教育費・年齢による変化に加え、税・社会保険料を毎年計算する
資産 株式50〜75% + 中期国債 株式100%

「30年」という期間の違いは、実はあまり効きません。 ベンゲン自身「ほとんどの場合は 50年以上もった」と書いており、同じ方法で60年を計算しても答えはほとんど変わりません (30年で3.69%、60年で3.60%)。効くのは収入・支出・資産の3つです。

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暴落が起きる時期の影響

同じ平均リターンでも、悪い年がいつ来るかで結果は変わります。 退職直後に大きく下げると、下がった資産から取り崩すことになり、 その後の回復に乗る元本が減ります(シークエンス・リスク)。 平均だけを見る試算では、この差が出ません。

暴落ストレステストでは、過去に実際に起きた下落を任意の年に当てて、 資産寿命がどう変わるかを見られます。

考慮していない項目